本稿ではアブガルシアのスピニングリール「ZENON 2500SH」のインプレッションを述べる。
はじめに
まず、一言にすると「最高のスピニングリール」だ。大変気に入っておりゼノンばかり使っている。しかし購入前は不安もあった。なぜかというと、YouTubeに早期に上がっていたゼノンのインプレにおいて、ライントラブルが起きると指摘されていたからだ。
この指摘は、すでに多くの方々によって否定されているのだが、未だにゼノンの検索結果に表示されやすいので本稿でも軽く触れておく必要があると考えた。ハッキリ言ってしまえば、基礎を身につけている方ならライントラブルは起きない。私が購入を決断できた理由も、繰り返し動画を拝見した結果、ライントラブルの原因はユーザーのミスにあると判断したからである。
ゼノンの特長
さて、ここからはゼノンの良いところを述べていく。琴線に触れるものが見つかれば幸いだ。
軽量
最初に伝えるべきは、とにかく軽いということだろう。なぜリールの軽さが重要であるかは、延べ竿やフライフィッシングをすればわかる。つまり、仕掛けがポイントに届くのならリールなど不要なのだ。タックルは軽くてシンプルな仕立てになるほど感度が良く、身体の一部になったかのような一体感を得られる。だからリールはなるべく存在感が少ないほうがよいのだが、反してタックル重量の大部分を占めてしまっているものなのである。
ゼノンは2500SHで148gしかない。現状で最高の選択肢である。
高い剛性がもたらす高感度
使ってみて驚いたのが剛性、すなわち硬さである。マグネシウム合金が使われていると知って納得した。感度を高めるためには軽さと硬さを両立していることが条件だ。このことは頭ではわかっていたが、体験によって知識も塗り替えられた。私はゼノンの感度についていくためにロッドもラインも買い替えた。
ロケットラインマネジメントシステム
アブガルシアのスピニングリールはスローオシレーションを採用している。いわゆる密巻きと呼ばれる方法だ。ライン放出時のバタつきが少なく、ラインがスムーズにガイドへ運ばれていく。
また、スプールとベールにも工夫があるらしく、キャスト時にライン放出音が加わるのが面白い。夜のサーフでは音を頼りにゲームを展開するので助かっている。
クイックドラグ
これもアブガルシアの特徴のひとつで、ドラグの回転角が小さいクイックドラグを採用している。90度も回せば全く異なるドラグ値になる。
強いドラグでフッキングした後、直ちにドラグを弱める操作をするとき、クイックドラグなら素早く実行することができる。サーフでは遠投していることに加えて、口の硬い魚もおり、ブラックバスと比べてフッキングが難しいことを痛感している。クイックドラグを使いこなしてキャッチ率を高めたい。
その他
上記以外で気に留まった点について述べる。
ベールの開閉の固さ
他の方のインプレでベールの開閉が固いという指摘を見かけた。私はフルパワーで大遠投を試みた際、ベールの開閉が柔らかいリールでは不意にベールが戻ってしまうことがあったので、固いほうが正解だと考えている。
たぶん、ベールを固いと感じる人は指先でベールを操作しているのだと思う。私はベールを手のひらで包むようにして操作するので力不足を感じることはない。
左右非対称ボディ
好みの問題だが、初めて見た時は奇抜な形状だと感じていたものが、今となっては最高にかっこいいと思っている。もはや普通の対称形のボディのリールは野暮ったく見えていて食指が動かない。ゼノンには中毒性がある。注意されたし。
おわりに
細かい部分で紹介したいところはまだまだあるが、読みやすさを優先して筆を置くことにする。冒頭で触れたが、基礎ができていればライントラブルは起きないので安心して使ってよいと思う。非常にコストパフォーマンスも良いので、おすすめである。